擬宝珠を調べていたとき、如意宝珠の持ち主の一人である「如意輪観音」が気になったので調べてみた。
菩薩は、如来を目指して悟りを求める修行者。王子の身で修行中だったお釈迦様がモデルとなっているため、地蔵菩薩を除いて、装飾品を身に着けて優美な雰囲気を漂わせている仏像が多いのが特徴。
如意輪観音は如意輪菩薩ともいわれ、如意宝珠と法輪(仏の教え)を用いて「命あるものすべてを救済する」のが仕事。
如意とは「思いのまま」ということ。
この観音様の思いのままにどんな困難からも救っていただけるとは、なんとも心強い。
さてお姿。右膝を立ててその右足裏を左足の裏と合わせてゆったりと座り、思いにふけるかの面持ち。それとは対象的に六臂(腕が6本)は、如意宝珠や宝輪・数珠などを持ちいかにも忙しそうだ。
臂に関しては二臂像から十二臂像まで像によって様々だとか。
今私が見ているのはボストン美術館アーカイブのビゲローコレクション(William Sturgis Bigelow Collection)の『六観音像扉絵 如意輪観音』鎌倉から南北朝時代の板絵だ。
六臂を備えたこの像は全身に宝飾をまとい金彩も美しく残っている。伏し目がちながら何かを凝視するような眼差しが印象的。
如意輪観音の表情は「思惟憐憫の情」を表しているのだそう。
ただ見ているだけでも心が安らかになるようだ。