絵はがき

近年は届く機会がめっきり減った絵はがき。さらに昨年からのコロナで遠出もできず、観光地で買うこともない。

今日は、引き出しの中の観光地の絵はがきを整理。そこで日本のものと他の国のもの、ちょっと趣が違うことに気づいたのだ。

日本の絵はがきは、浮世絵版画の名所絵と似ている。各地のランドマークに季節感そえるのがお約束だ。紅葉の清水寺、伊豆の河津桜並木、雪の白川郷などなど、季節ごとの自然の表象を加えることで、各地の名所がよりリアルな美しさをみせている。

一方で海外の観光地の絵はがきは、季節感というよりは時間ごとの日光の変化を意識している感じがする。明るい日中の日差し、夕暮れ時、夜の照明と、主題となる場所が日の出から日没あとまで、光の効果で表情を変えていく瞬間を切り取ろうとしている。

絵画の例を取れば、印象派のクロード・モネも光の効果に惹きつけられて『積みわら』や『ルーアン大聖堂』など、同じ素材を時間を変えて制作しているシリーズがある。ヨーロッパ絵画での風景画のシリーズ化は浮世絵・名所絵の影響だったと言われている。

いずれも美しい瞬間を残そうという意図だろうが、国民性か民族性か、美しさを求めるポイントが違うようで、なかなかに興味深いものだ。