年賀状

昨日、日本からの年賀状が一通届いた。

郵便ボックスを開けて字を見ただけですぐに差出人がわかった。住所の綴を間違わないように気をつけながら書いている緊張感も一目瞭然よくわかる。

封筒に触れると柔らかな和紙の感触。出してみると雲龍の柄。もうほとんどシャーロック・ホームズ状態で色んな角度から確認。

いつもなら、見るものをとりあえずとにかく消毒なのに、すっかり惹きつけられてそれもしばらく忘れていた。そして遅ればせながら消毒開始。しかしそれもいつもより柔らかな紙に消毒液加減しながら染み込ませてごく表面だけを丁寧に丁寧に。

きれいな切手、広重の桜の嵐山。浮世絵好きの私への気遣いもうれしい。
封筒を開く前なのに何度「ありがとう!」とつぶやいたことか。

さて、中から出てきたのは二つ折りにした美しい楮紙。その中に、お年玉付き郵便はがきが挟んであるだ。外から透けないようにということもあるだろうが、新しい年の挨拶状が清らかに届くようにという祈りのようにも思える。

はがきはもちろんお約束の干支のデザイン。今年は丑だ。

欧米の友達なら「ZENだわ〜」と言いそうなすっきりとしたレイアウト。そのせいか新年の幸せと健康を祈願する思いがいっそう強く伝わってくる。

昔々、書の師曰く。年賀状は新年を寿ぎ、挨拶をするのが目的。余計なことは書かない。はがきを用いるのは、たくさんの年賀状が届く時に余計な手間をかけさせないため。先方への心配りが肝要、とのこと。

心配り。

この場合エアメールが良い状態で安全に届くように、あえて封筒を使ってくれたことが心配り。はがきや手紙はこんなにたくさんの幸せを相手にもたらしてくれるのだ。

急がないときは手紙を書こう。 心を込めて。