《妹背山婦女庭訓》ふたたび

上方絵には改印がない?!というところで謎解きの作業が中断していた。

この作品の出版時期の初期捜索を改印に頼ることができなくなったわけだ。しかし当作品は芝居絵・役者絵のカテゴリー。芝居番付がある。

注目時期は、芳滝が笹木姓を名乗る少し前の1870年以降。

まず芝居番付を有効に利用するための準備。今回も立命館大学のデータベースをメインに作業を進める。

こうしたDBサイトを利用する際は、検索頁でまずは手持ちのデータを入力しなければならない。このデータが多いほど絞り込まれた的確な情報が入手できる。しかし今回の目的は「時期の特定」で、何年分ものデータが必要なため、入力データは外題の『妹背山婦女庭訓』と芸能分類の「歌舞伎」だけで検索。たった2つの情報なので1007件の番付資料のリストがヒットした。このリストは必要のない古いものも含まれているが、1869年以前はまずは無視して1870年から芳滝が活動していた上方(京都・大坂)の興行をチェックしていく。もう一つの方法として、外題と芸能分類の他に年代を入れていくこともあり。ただ「何年から何年」というザックリした入力ができないので、一年ごとに年代を入力し直して検索するという手間がかかる。

ところで、各興行の番付表を開いた時、今回重要になるのが役者名だ。ここで役に立つのが以前ポストイット式の役と役者名の書き込みを確認したあの作業。

・橘姫 中村福助
・藤原淡海 中村宗十郎
・荒巻弥藤次 大谷龍左衛門
・金輪五郎 尾上多見蔵
・玄上太郎 實川延若
・宮越玄蕃 實川菊蔵
・藤原鎌足 市川鰕十郎
*入鹿大臣はまだ役者名が不明です。

この配役が揃った興行の番付を捜索開始。