初雪の朝

落ち葉掻きのまもなく…

ぼんやりとした寝起きの頭で、暖房が自動作動する音をきいていた。

このあたりの真冬はマイナス10度は軽く超える。配管凍結防止のため暖房は24時間稼働だがが、温度は時間毎に設定している。そして今朝、今シーズン初めて暖房が自動作動でより強力に動き出した。つまりそういう寒さになったというわけだ。

シンと静まり返った朝。

この静けさ、しばらく忘れていたけれど、間違いなくあの気配。
すべての音を包み込む雪がふっている、しかも積もっているということ。

また長い冬がはじまることを思いながら、真っ白の積雪を期待してカーテンを開けたところ、終わりかけの紅葉が落ち葉となって新雪の一面をおおっている。なんとも美しい!裏口のドアを開けながら懐かしい冷気につつまれて、しばし秋冬の入り交じる朝に見惚れた。

雪が溶けたら今半ば凍ってるこの落ち葉も哀れな姿になるのかと、ハロウィーンの準備で落ち葉掻きを先延ばしにしたことを後悔した。

そしていきなり蘇った記憶。

「女の盛りなるは、十四五六歳廿三四とか、三十四五にし成りぬれば、紅葉の下葉(したば)に異ならず 」

こんな文章を見つけて他人事のように笑いあっていた学生時代…こんなにしみじみとした気持ちで雪に入り交じる落ち葉を見る自分など思いもよらなかった。

ひんやりとした廊下でひとり、自分の頬が高揚し緩むのを感じた。

『梁塵秘抄』巻第二、394
平安後期の今様とその周辺歌謡の集成。後白河法皇撰。明確な成立年時は未詳。