選挙ストレス

今日は2020年11月3日、日本は文化の日。

米国では4年に一度の11月第一火曜日、大統領選挙投票日だ。

選挙投票にあたって今回の有権者の判断材料は例年以上に多いはず。なにしろCOVID19など例年ではなかった。医療の問題で政府主導のアドバイスを信頼できるかどうかまで考えなければならないのだ。この国にずっとあり続けた人種問題はまったく好転していないどころか悪化の傾向。さらに投票システムの信頼性まで疑われている始末。諸々含めてもちろん次期大統領はどちらにするか。

大統領選の候補者はこうした問題に関して対極に立つ2人。支持政党の違いは家族のなかでさえもいつの時代にもあることだろう。ただ今回の報道を見ていると両陣営の対立ぶりが一般の人間関係にも影響しているようで、私個人の経験からしても日常の近所との気軽なおしゃべりも今まで以上に神経を使うものになっている。さらに、選挙運動における公人の言動や真偽の定かではない情報の拡散もあり、報道を見聞するだけで不快感を感じたり将来に対する不安を強める人も多いといわれている。

こうした中で耳にしたのが、「選挙ストレス障害(election stress disorder)」。

もともとは2016年の大統領選挙の際、メリーランド州のカップル・カウンセラーのスティーブン・ストスニー(Dr. Steven Stosny)により明らかにされたものだ。

アメリカ心理学会の統計よると、成人アメリカ人の68%(10月発表の世論調査)が選挙を重大なストレスと感じていると報道している。こうしたことを裏付けるようにメンタルヘルスのセラピストの需要が高まっているということは頻繁に報道されている。

前述のストスニー博士や有識者は、ニュースやソーシャルメディアからの情報の扱いに慎重になるよう呼びかけている。内容の真偽を確認したり冷静に理解するための時間をとることが、他者との会話を穏やかにするだろうとしている。

情報の理解に時間をとること、情報のソースを確認することは必要だろう。

それに加えて、自分と違う意見、自分が望まない結果もありうるということを認識する必要があると思う。いつも自分の思うように世の中を動かさなければならないという戦闘態勢でいることがストレッサーにもなり、人間関係の分断を起こすのではないだろうか。

投票数がかつてない数に上ったのは喜ばしいことだ。しかしそれはまた不安の現れかもしれない。こんな事も含めて今回は「歴史的大統領選」と呼ばれている。

すでに投票時間は締め切られて結果報道が始まっている。
いずれにしても、ストレスが軽減される結果となることを願うばかりだ。

<参考サイト>
Katherine Cusumano 2020「Don’t Give In to ‘Election Stress Disorder」『The NewYork Times』
https://www.nytimes.com/2020/10/31/at-home/election-stress.html