錦絵とガラス絵それぞれのタイトルと署名・印影を比べてみた。
まずタイトルの「谷風」。
「谷」は多少の集中力はみえますが、「風」はかなり苦戦している。風は中学校の書道レベルでもバランスの取りにくい字。下書きに沿ってなぞったのだろうが、錦絵でみられるスッキリとした起筆・収筆には及ばない。ただ、遠目にはよく似て見えると言えるかも。
次は春英の落款と極印。錦絵の画像の画質で拡大するとこれが精一杯。残念ながらとても見にくい。
錦絵のほうが非常に不鮮明だが大雑把ながらも文字の形の違いはハッキリわかる。それとガラス絵の方、極印と一部重なって大きめの朱文らしいものが見えます。これは錦絵の方には存在しない。印文は理解できていない。
最後に板元永寿堂の印。
ここまですべて同じ画像を使っているが錦絵のこの部分は比較的鮮明に写っている。全体としてはよく写し取っている。ただ錦絵の方は山印の次が三つ巴だが、ガラス絵の方はボールが3つ、勾玉のかたちではないようだ。頂点のボールと下の2つにはそれぞれ短い線でつながっているようにも見える。
これら3つの比較から。
1)錦絵をガラス絵が真似ていることは明らか。
2)複写の精密度と錦絵にない印影(らしく描かれたもの)の朱文から、製作者に日本語の知識があったか疑問。
3)錦絵を基に作られたガラス絵を複数見る経験が必要。完成度を知りたい。
以上