前回に続き、磬子の刻印についてです。
これは胴体部分ではなく、真上から見える縁に刻印されている。つまり胴体の厚みの部分に4文字の漢字が見えるのだ。
「作 金 竜☆」
最初の「作」は他の字よりも小さめ。そのあと一文字目は「金」、余白を置いて「竜」、次の最後の文字が「華」か「辛」のようにみえるが判然としない。並びとしては氏名のようだ。
中国・韓国出身の年配の友人たちにも見せたが、予想できる文字を試し書きしながらも首をかしげるばかり。「韓国の名前っぽい」というところで話が行き詰まってしまった。
とにかくこれが金竜☆という職人の落款と見てよいだろう。この金なにがしが大和屋重作の依頼で安永3年9月13日の寄進のためのこの磬子を制作したと仮定できそうだ。