SHOWDOWN! Kuniyoshi vs Kunisada

渋谷Bunkamuraから約一年。待ちに待った本拠地ボストン美術館での国芳国貞展が始まった。

Museum of Fine Arts Boston メインエントランス ー 465 Huntington Avenue Boston, MA

本拠地においても大変な盛況。他国の人々が日本文化にこんなに興味を持ってもらえるとは。想像以上で誇らしいことだ。とはいえBunkamuraほど押せ押せの混雑はなく、少し順番を待てば作品前至近距離で時間をかけてゆっくり見ることができる。日本展で印象深かったタイトルやキャプションの工夫は英訳でも生かされていた。もちろん私達が時代劇で馴染みのあるべらんめえ調の江戸弁や役割語などはむりだが。

展示作品に対する印象は日本展同様、瑞々しいというか、摺りあがりを思わせる鮮明さ。距離をとって作品を見ると、170、180年の時間を経ているというよりも現代の感覚によくマッチして見える。

内容は日本展とほぼ同様のセレクトに見えた。“ほぼ”というのは、版画の特性とMFA特有のルールのせいだ。ビゲロー (William Sturgis Bigelow) コレクションは作品数も膨大で同じ版木で摺られた作品が複数存在している。そのため厳密にはMFA独自の作品ごとにつけられたコレクションIDが一致して、初めて同一作品と言える。タイトルが同じでも両国でID画一致した同一作品を展示したかどうかはまだ確認できていない。

日本では渋谷に続いて神戸、そして名古屋ボストン美術館でも巡回開催された。通算の展示期間に移動などを含めると、作品たちは一年近く心地よい家を離れていたと考えられる。国を跨いだ2つの展覧会のあいだにはざっくり計算して約半年のあいだがあったと想定できる。ビゲローコレクションの錦絵展示後のルールが、どれくらいの期間の休憩を定めているのか、たびたび気になりながらもまだ確たる情報がない。今回ももしかすれば同じタイトルながらIDちがいなどと言うこともあるのかもしれない。

ところで会場では、MFA日本美術キュレーターのセーラ・トンプソン(Sarah E. Thompson)氏をお見かけした。ジャーナリストによる取材のようだったが、それが始まる前には作品前に置かれた長椅子に腰掛けて満足そうにゆったりと作品を見回しておられた。遠くからも作品に対する深い愛情が感じられた。