清水清玄 その2

前回ふれた清水清玄が登場する豊国作品の概要。

役者絵と言うことはわかるが演目は検討がつかなかったので、主役であろう2名の名前「清水清玄とさくら姫」で検索。ボストン美術館(MFA)にも所蔵作品があることがわかった。これは幸運。MFAはキャプションが充実しているだけでなく画像が高画質なので拡大にも耐えられ、版木の木目まで照らし合わせることができるからだ。

ということで、以下MFAの作品説明を参考にしながらまとめた概要。

左:一陽齋豊国画(さくら姫)右: 香蝶楼豊国画(清水清玄,下部淀平)
BlueIndexStudio所蔵

作品:「清水清玄」「下部淀平」「さくら姫」
絵師:歌川豊国三代(国貞)
版元:加賀安(加賀屋安兵衛;浅草福井町1)
落款・押印:「清水清玄」「下部淀平」香蝶楼豊国/年玉印、「さくら姫」一陽齋豊国(押印なし)
改印:衣笠・村田;1847(弘化4)−1852(嘉永5)
作品サイズ:清水清玄・下部淀平;35.5×25.5cm、さくら姫;35.5x24cm

さて作品画面上にはタイトルらしきものはない。MFAは作品タイトルとしてそれぞれの役者名も記していて、1852(嘉永5)年の「恋衣雁金染(こいごろも かりがねぞめ)」という歌舞伎公演の際の作品としている。
「恋衣雁金染」で検索したところコトバンク内に、河竹新七(2代)作、嘉永5年1月に江戸・河原崎座が初演であったことがわかった。
番付探しで確認できそうだ。

<参考文献>
宮地哉恵子 1997 「国立国会図書館所蔵 幕末・明治期 錦絵・摺物等の版元・印刷所一覧(稿)」『参考書誌研究』第47号66頁

<参考サイト>
「恋衣雁金染」『日外アソシエーツ 歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典』 コトバンク https://bit.ly/3yVDKwp(2021年7月30日閲覧)
豊国III(国貞)『「清水清玄」八代市川団十郎「下部淀平」三代嵐璃寛「さくら姫」三代岩井粂三郎』Museum of Fine Arts, Boston 
https://bit.ly/3gctmcj(2021年7月30日閲覧)